フリーランスで仕事をしていると、クライアントから「秘密保持契約書」の締結を依頼されることがあります。
ですが「契約書のどこを確認すべきなのか?」「締結して問題ないのか?」などわからないことだらけで、不安になってしまいますよね。
そこで今回は、秘密保持契約書(NDA)の基本と確認すべきポイントを解説します。以前法務部門で勤務していた僕が、わかりやすくご紹介しますので、ぜひご覧ください。
なお今回の記事は、こちらの書籍を参考に作成しています。
秘密保持契約書(NDA)とは?
秘密保持契約書とは?
「秘密保持契約」とは、次のような契約をいいます。
秘密保持契約とは、企業が秘密情報を開示した場合に、その情報を外部に漏らさないことを約束させる契約のことです。
千葉博『個人情報保護法と秘密保持契約をめぐる法律問題とセキュリティ対策』より
そして秘密保持契約書とは、この「秘密保持契約」を締結したことを確認するための書面です。
締結して守るべきことは、契約書で決められますが、一般的には「仕事をするうえで知り得た情報を、第三者に漏らさない」という義務を負います。
この義務に違反し、秘密情報を漏らした場合は、損害賠償などを請求される場合も。「契約書なんてよくわからないから…」と面倒くさがらずに、項目はしっかり読みましょう。
NDAとは?
「秘密保持契約」は、英語では「Non-Disclosure Agreement(非開示契約)」となります。ですので、その頭文字をとって、秘密保持契約は「NDA(エヌ・ディー・エー)」ともよばれます。
秘密保持契約の締結後に気をつけること
秘密保持契約を締結した場合、故意でなくとも情報を流出させると大変です。そこで、次のようなことに気をつけて仕事をしましょう。
①PCのセキュリティをしっかりと
ウィルス感染などでPC内の情報が流出してしまわないよう、次のようなセキュリティ対策を行いましょう。
- OSを最新にしておく
- セキュリティソフトを入れる
- 不審なメールは開かない
- 怪しいサイトを訪問しない
②できるだけ外では作業しない
カフェやコワーキングスペースなど、外で作業を行なうと、以下のようなリスクがあります。
- PCの画面をのぞきみられる
- PCを盗まれる
- フリーWi-Fiで通信を「のぞき見」される
クライアントの秘密情報をもらさないためにも、できるだけ外での作業を行わないことがおすすめです。
なぜ秘密保持契約書(NDA)を締結するの?
ライターと秘密保持契約を結ぶことで、クライアントには次のようなメリットがあります。
①相手方が秘密を保持し、目的外に情報を利用しないよう規律することができる。
②相手方が秘密保持の約束を破ったことにより損害を被った場合に、秘密保持契約の違反(債務不履行)を理由に損害賠償を請求することができる。
③情報の流出・漏えいに関して、不正競争防止法に基づく損害の推定規定・行為の差止めを利用できる可能性が高まる。
森本大介ほか『秘密保持契約の実務』より
もうすこしわかりやすく書くと、会社の「営業秘密」を守るための法律として「不正競争防止法」があります。これは、「営業秘密」の持ち出しなどを、刑事罰の対象とする厳しい法律です。
ところがこの「営業秘密」として認められるためには、厳格な要件があります。社員が情報を盗み出しても、それが「営業秘密」と認められなければ、「不正競争防止法」での処罰はできません。
また「営業秘密」以外にも、会社には秘密とすべき情報がたくさんあります。そういった
秘密保持契約についてのQ&A
Q1.乙欄には本名と現住所も書く?ペンネームのときは?
乙欄(自分の情報を書くスペース)には、法人でしたら、会社名・住所・代表者名を記載します。個人の場合は、本名と現住所を書きます。
個人でペンネームをつかっている場合には、「◯◯◯(ペンネーム)こと◇◇◇(本名)」といった書き方をします。
クラウドソーシングサービスでは、「個人情報を集める」ことを目的とする悪いクライアントもいるようです。過去の実績などをよく確認して、「このクライアントに自分の個人情報を渡しても大丈夫か?」を見極めましょう。
Q2.契約の内容は修正してもらってもいい?
契約の内容に納得できないようでしたら、修正を依頼しましょう。契約は、あくまでも両方が同意して結ぶものです。
「この項目はおかしいけど、仕事をくれなくなったら嫌だし…」とムリに契約書をむすび、あとでその項目による責任で損害賠償請求される、なんてこともありえます。まずは項目について質問して、きちんと答えてくれるようなクライアントと仕事をしましょう。
契約書締結で不安なときには専門家に確認してもらおう
ここまで秘密保持契約書のポイントをご紹介しましたが、いざ締結するときには、さまざまな問題が発生することも。そんなとき、サイトで調べたり知り合いに聞いたりして対応しても、正しい解決に向かっているとは限りません。
今は専門家に相談できる、次のようなサイトがあります。早めに専門家に確認し、安心して契約を結びましょう。
・【ココナラ】契約書・各種書類作成(行政書士) :スキルのオンラインマーケット【ココナラ】では、契約書関連の相談もできます。もちろん相談相手は専門家である「行政書士」です。
・相談サポート:全国約1600事務所から相談可能事務所を探せるサイトです。無料での相談をおこなうこともできます。
参考文献
- 千葉博『最新 個人情報保護法と秘密保持契約をめぐる法律問題とセキュリティ対策 』(三修社)
- 森本大介ほか『秘密保持契約の実務』(中央経済社)