Webライターとして個人事業を始めたら、開業届を出すことが必須です。
ですが「どのように記入して、いつ、どこに出せばいいのか」が、はじめてのことでわかりませんよね。
そこで今回は、開業届の基本知識から書き方、一緒に出すべき書類まで徹底解説します。
僕が実際に提出した書類の「控え」もお見せしますので、理解しやすくなっていますよ。
Webライターとして独立する方は、ぜひ参考にご覧ください。
開業届とは?
まずは、開業届についての基本知識をご紹介します。
開業届とは?
開業届とは、「個人事業主として新たに事業を開始したことを、税務署に申告する」書類です。
正式な名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」。
この書類は、引っ越したときや廃業するときも使います。
独立後1ヶ月以内に提出を
開業届は、独立後1ヶ月以内に提出する必要があります。
国税庁ウェブサイトでも、次のように記載。
事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。
「国税庁:個人事業の開業届出・廃業届出等手続」より
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
ただし、開業届を1ヶ月以内に出さなくとも罰則はありません。
出さなくて困るのは、次項に記載した「メリットが受けられない」というくらいです。
そして、webライターでの「事業の開始等の事実があった日」とはいつになるのでしょう?
会社を退職した翌日でしょうか?
これも厳密な決まりはないため、キリのいい日でOKです。
営業に許認可が必要な業務なら、許認可がおりた日以降ですが、Webライターはそういったものがありませんし。
縁起のいい日を、事業開始日に選ぶ方もいるようですね。
フリーになったら出すべき?開業届を出すメリット
開業届を出すことで青色申告が行え、すると次のようなメリットがあります。
- 青色申告ができるため、最大65万円を控除
- 赤字になったとき、損失を3年間繰越せる
- 親族や配偶者に支払う給与を「経費」として扱える
青色申告は帳簿付けが面倒ですが、会計ソフトを使えばカンタンに入力が終わります。
そして、いくら罰則がないといっても、開業届を出すのは個人事業主としての義務。
まだ提出していない方は、早めに提出しましょう。
Webライターでの開業届の書き方
いざ開業届を目の前にしても、どの項目をどう書けばよいのかわからないものです。
そこで実際に提出した申請書の控えをご覧いただきながら、Webライターでの開業届の書き方を解説します。
申請書はウェブか税務署で入手
開業届は、データならば国税庁のウェブサイト、紙の申請書ならば税務署で入手できます。
国税庁のウェブサイトで「開業届」データを入手する
開業届のPDFデータがこちら。
このデータをダウンロードして使用します。
書式だけプリントアウトして手書きで記入しても、データ上で入力してもどちらでもOKです。
記入方法は後述していますので、参考にしてください。
また国税庁サイトには、手続きや書き方についての説明もあります(少々わかりづらいですが)。
税務署で紙の「開業届」申請書を入手する
まずは、あなたの納税地(事務所ではなく家の住所)を管轄する税務署を検索しましょう。
各都道府県に、10箇所ほどの税務署があります。
あとは税務署に行って、開業届の用紙をもらいます。
すぐに提出したい場合は、その場で記入して申請すると早いですので、こちらも持参するといいですね。
- 印鑑
- 本人確認書類
「本人確認書類」とはマイナンバーを証明できる書類で、次のようなものを指します(詳しくはこちら)。
- マイナンバーカード
- 通知カード(または住民票) + 運転免許証(または保険証やパスポート)
Webライターの開業届控え【実物】
こちらが、僕の開業届控えの実物です。
これは控えのため「個人番号」(マイナンバー)はプリントされませんが、提出用にはちゃんとプリントされます。
webライターでの開業届の書き方
開業届の記入する部分①~⑭までを解説していきます。
「Webライター」で開業する場合は、そのまま同じように記入すればOKです。
①税務署長
こちらで、あなたの納税地(事務所ではなく家の住所)を管轄する税務署を確認して、税務署名を記入。
②提出日
税務署に持参する日、ポストに投函する日を記入。
③納税地
自宅で仕事を行う場合は「○住所地」にチェック。
「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出しているときは、「○居住地」か「○事業所等」にチェックを入れます。
「郵便番号」、「住所」、「電話番号」も記入してください。
「電話番号」はケータイ番号でもOKです。
④氏名
「氏名」と「フリガナ」を記入。ここはペンネームや屋号ではなく本名です。ハンコは認印でいいので、押すのをお忘れなく。
ハンコが手元にない方は、こちらのハンコ通販サイトがおすすめです。
⑤生年月日
生年月日を記入。
⑥個人番号
自分のマイナンバーを記入。
国税庁ウェブサイトのPDFデータに入力した場合、「控え用」には番号が印刷されません。
⑦職業
「ライター業」や「文筆業」と記入。
⑧屋号
ペンネームがあれば記入。
まだ決まっていなければ空欄のままで大丈夫です。
僕も空欄で提出しました。
⑨届出の区分
「○開業」にチェックを入れます。
事業の引き継ぎを受けたとき以外は、「住所」・「氏名」の記入は不要。
⑩所得の種類
「○事業(農業)所得」にチェック。
⑪開業・廃棄等日
開業した日を記入します。
僕は副業としてWebライティングをやりながら、8月に会社を退職しましたが、11月1日を開業日としました。
⑫「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」
「開業届」と一緒に「青色申告承認申請書」を出すときは、「○有」にチェック。
出さない場合は「○無」にチェックを入れます。
⑬消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」
「○無」にチェックを入れます。
⑭事業の概要
僕は「ホームページに掲載するテキスト作成」と記載しました。
(たしか、どなたかのサイトに書いてあったものだったと思います)
開業 freeeもおすすめ
僕は、国税庁ウェブサイトからPDFデータをダウンロードして作成しましたが、開業 freeeならもっとラクに開業届を作れます。
ためしに使ってみたところ、5分で作成可能。
「所得税の青色申告承認申請書」などの必要書類も一緒に作ってくれます。
提出する税務署も、地図付きで教えてくれるんです。
そして無料!
ぜひ使ってみてください。
開業届の税務署への提出方法と必要書類
記入した開業届を税務署に提出するには、持参と郵送の2つの提出方法があります。
僕は聞きたいこともあったので、持参しました。
また税務署には管轄がありますので、まずは自分が住んでいる地域の管轄税務署をこちらで確認してくださいね。
【方法1】管轄税務署に持参するときの必要書類
開業届を管轄税務署に持参する場合は、次の書類が必要です。
- 開業届
- 開業届の控え
- 本人確認書類
「本人確認書類」とはマイナンバーを証明できる書類で、次のようなものを指します(詳しくはこちら)。
- マイナンバーカード
- 通知カード(または住民票) + 運転免許証(または保険証やパスポート)
窓口で「開業届を提出したいんですが」といえば受け付けてくれます。その場で確認して、問題なければすぐに受付印を押した控えを戻してくれますよ。
ちなみに税務署は、土日祝日が休みで、開庁時間は午前8時30分~午後5時まで。開いている時間に行ってみましょう。
【方法2】管轄税務署に郵送するときの必要書類
開業届を郵送する場合は、返信用封筒の同封を忘れないようにしましょう。
開業届の控えを戻してもらうのに必要です。
さらに「控えの返送をお願いします」と一筆添えるといいですね。
こちらが、郵送するときの必要書類です。
- 開業届
- 開業届の控え
- 本人確認書類の写し(こちらの台紙に貼っておく)
- 切手を貼った返信用封筒
「本人確認書類」とはマイナンバーを証明できる書類で、次のようなものを指します(詳しくはこちら)。
- マイナンバーカード
- 通知カード(または住民票) + 運転免許証(または保険証やパスポート)
申請手数料は無料(切手代は別)
開業届の申請に、料金はかかりません。
無料です。
ただし郵送する場合の切手代は必要ですので、間違いなく貼ってください。
引っ越すときはどうするの?
引っ越すときは、再度申請書の提出が必要ですが、「管轄税務署が変わるかどうか?」で使用する書類が変わります。
次の手順で確認しましょう。
【手順1】管轄税務署を調べる
まずは、こちらの国税庁サイトから現在地と引越し先の「管轄税務署」を調べます。
サイトの「管轄地域」を見て、管轄する税務署がどこになるのかを確認してくだい。
【手順2】管轄税務署が変わらない場合
同一市区町村内での引っ越しや、税務署の同一管轄地域での引っ越しの場合は、「開業届(個人事業の開業届出・廃業届出等手続)」を使用します。
引越し先の住所などを記載した上で、本人確認書類とともに引越し先の管轄税務署に提出してください。
【手順3】管轄税務署が変わる場合
県外などへの引っ越しで管轄税務署が変わる場合、「開業届(個人事業の開業届出・廃業届出等手続)」のほかに、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」が必要です。
「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」は引越し先の、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」は引越し前の管轄税務署に提出ですので気をつけてください。
(以前は引越し前・後の両方の税務署に提出していましたが、2017年4月1日以降は引越し前の税務署のみでよくなりました)
「所得税…届出書」の提出期日は「遅滞なく提出すること」とだけ記載されていますが、忘れると大変です。
引越し前に早めに届け出しましょう。
開業届に「所得税の青色申告承認申請書」は添付する?
開業届について調べると、あわせて「所得税の青色申告承認申請書」について書いてあるものが多いですよね。
これは一緒に提出するものなんでしょうか?
ここでは「所得税の青色申告承認申請書」についてご紹介します。
「所得税の青色申告承認申請書」とは
「所得税の青色申告承認申請書」とは、確定申告で青色申告制度の特典を受けるために必要な書類です。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。
そして「青色申告」にはこんなメリットが。
- 65万円の控除を受けられる(複式簿記の場合)
- 家族への給与を経費にできる
- 赤字を3年間繰り越すことができる
青色申告制度で確定申告を受けるには、申告する年の3月15日までに提出する必要があります。
開業届に「所得税の青色申告承認申請書」は添付する?
開業して初年度から青色申告を行いたい場合は、「所得税の青色申告承認申請書」を添付しましょう。
「白色申告でいいや」という場合は必要ありません。
「所得税の青色申告承認申請書」の書き方や基本知識については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「青色申告と白色申告とのちがい」も説明していますので、よろしければ参考にしてください。
個人事業税の「事業開始等申告書」は必要ない?
個人事業をする場合、地方自治体に「個人事業税」を納付しなければなりません。
ライターではどうなのでしょう?
ここでは、個人事業税と「事業開始等申告書」を解説します。
個人事業税の「事業開始等申告書」とは
個人事業税の「事業開始等申告書」とは、個人事業の開始時に地方自治体に申請を行うものです。
書類名は都道府県によって異なり、「事業開始等申告書」は東京都の場合。
僕が住む山形県なら「個人の事業開始(事務所等の開設)・変更・廃止申告書」です。
開業届と違うのは、「事業開始等申告書」は個人事業税を支払うために申請すること。
提出先も都道府県によって異なり、東京都なら東京都主税局へ、山形県なら総合支庁へ提出します。
「ライター(文筆業)」なら「個人事業税申告書」は不要
個人事業税の申請書について解説しましたが、結論としては「ライター(文筆業)」なら「個人事業税申告書」は不要です。
なぜなら「文筆業」は、個人事業税がかからない(0%)から。
個人事業税とは、個人事業のなかで70の法定業種にかかる税金のことです。
文筆業は法定業種に当てはまらないため非課税となります。
ちなみにwebデザイナーなら、「デザイン業」と判断されるため、5%の事業税がかかります。
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開業したら忘れずに開業届の提出を
今回は開業届について解説しました。ライターさん向けの書き方もおわかりいただけたでしょうか。
個人事業を開業すると、仕事のほかにも健康保険や年金、税金を自分で申請するので大変…。
でも開業届を出さないと、青色申告ができないので大損してしまいます。
期限内に忘れずに提出して、よりいっそう仕事に励みましょう。
★WebライティングにおすすめのPC「Chromebook」について知りたい方には、こちらの記事がオススメです。